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炎天に思う(理事長寄稿) 2013年8月15日

炎天の 地上花あり さるすべり (高浜虚子)

帽子を深くかぶり時には日傘で、ギラギラ照りつける日差しを避け下を向いて歩いていた時、ふと見上げた木々の中に可憐な百日紅の花を見つけた。冒頭の虚子の短歌を思い出した。なぜ今年はこんなにも暑い日が続くのであろう。クラクラする頭で考えた。

でも、いくら考えても自然には逆らえない。

「さあ元気を出して」

暑さをしのぎ前進しよう。

「人間ってものはね、どんな人間でも可能性としては宝を内に秘めているものだ。だから人間を軽視しちゃいけないし、世の中をみくびっちゃいけない。与えられた一生は大事にしなければいけない」。この言葉は、昭和を代表する哲学者と言われている「谷川徹三」の言葉であるが、人間の可能性を考えてみると無限大のように思われる。

過去には考えも及ばなかった「宇宙への探究心」が、現在の宇宙ステーションを生み育み発展させたといえると思う。光り輝く月への旅も、夢ではない時代を迎えようとしている。

このように科学、医学などすべてが進歩している此の世の中で、人の心はなんと醜きことの多い事よ。冒頭の百日紅の花を見た時の感動を思い起こして見たいものと思う。

「高山樗牛」曰く「金銭のみ人を富ますものに非ず、権勢のみ人を貴くするものに非ず」とある。この言葉は、多くの事を私たちに教えてくれているように思われる。権力、名声のみにえてして最高のものと思いがちであり、その事に執着しがちである。そこに大きな落とし穴があるように思えてならない。人としての一番大切なものは何なのか、熟慮する必要性を感ずる。

謙虚な心と、誠意ある行いと、和の心の大切さと共に、生きとし生けるものすべてを愛する優しい心を持ちたいものと願う。

「百尺竿頭に一歩を進む」と云う言葉がある。現在そこで満足せずあゆみを進めよう、との意と聞くこの言葉の如く、是非前を見つめ一歩一歩進みたいものである。

(松本悦子)

※この記事は、福祉会だより第136号「漫遊見て歩きエッセイ」のオリジナル原稿です。